「トイレを使ったあと水がスムーズに流れない」「水があふれてくる」というのは、便器側もしくはその奥の排水管がつまったことで起こる現象です。
スッポン(ラバーカップ)でつまりを解消するというのがよくある方法ですが、トイレつまりの原因によってはつまりを直すのに専用のグッズや薬品は必須ではなく、家庭にあるありふれたものを活用したDIYでも対応可能な場合があります。
自力で修理する前に、なぜつまったのかを特定しておきましょう。
流していいもの(トイレットペーパーや排せつ物など、最終的に水に溶けるもの)がつまっているケースと、流してはいけないもの(生理用品、紙おむつ、ティッシュペーパー、プラスチック製品、金属製品、革製品、布製品など、水に溶けないもの)がつまっているケースでは、解決方法と難易度が異なります。
自力で直せるのは「流していいものがつまった場合」であることが基本です。
流してはいけない異物がつまった場合、自力でなんとかするのはかなり困難です。
引っ張り上げて取り出すことができれば解決できますが、さらに奥へと入り込んでしまうと、便器を丸ごと取り外すなど修理が大がかりになります。
また、水周り全般(洗面所、キッチン、バスルームなど)で排水がうまくできない、トイレを使っていないのに水が逆流してくるといった場合は、排水機能のどこかでトラブルが起きている可能性があり、自力では原因の特定自体が困難です。
便器の中に落としやすい固形物として、生理用品、紙おむつ、スマートフォン、幼児のオモチャ、財布、ぞうきん、掃除用モップの先端、使い捨てカイロなどがあります。これらはすべて水に溶けないため、こういったものがつまったときは自力で対処すると状況が悪化するおそれがあり、たいへん危険です。
特にアパートやマンションなどの集合住宅では、排水管が縦につながっているため、自室より階下の部屋が水浸しになるなど、被害が想像以上に広範囲に及んでしまうことも否めません。
集合住宅での水周りトラブルは、家具や家電の弁償、リフォーム代やクリーニング代の支払いといった、決して安くはない金銭的な話にまで発展してしまう場合もあります。
固形物を誤って流した・排水機能自体にトラブルの可能性があるという場合はすみやかに専門の水道修理業者へ相談することをお勧めします。
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トイレットペーパーや排せつ物がつまっている場合あれば、それを押し流してしまうか、もしくは取り出してしまえばつまりを解消できます。
また、トイレットペーパーや排泄物は時間の経過とともに少しずつ溶けるため、しばらく放置するだけで自然に解決することもありますが、その間はトイレを使うことができなくなります。
複数ある住宅であれば放置もひとつの方法ですが、なるべくなら素早く解決したいものです。
つまり解消に利用できるアイテムを紹介します。
使い方については作業準備のあとにご紹介しますので、まずは紹介するアイテムがお家にあるかをご確認ください。
クリーニング店などでもらえる、針金にビニールのコーティングが巻き付けてあるタイプのシンプルなハンガーです。
100円ショップなどで買うこともできます。
変形してつかいますので、簡単に形を変えられるようになるべくやわらかめのものを選びましょう。
飲み終わって空になったペットボトルです。
サイズは輪切りにしたときにトイレの排水口にピッタリはまるものが適しています。
注ぎ口の部分を塞ぐ必要があるため、キャップが残っていれば装着しておきます。
使う際には、カットするためのハサミやカッターナイフも必要です。
どんなものでも構いませんが、ある程度の大きさがあり、厚みと強度のあるものだと安心です。
ショップで提供されているレジ袋や可燃ゴミを出す袋が適しています。
複数枚を重ねて使用します。
掃除に使う重曹やクエン酸、調理に使うお酢といった身近なものも役立ちます。
つまりの原因をほぐして流すのですが、この方法では50度程度のお湯とお湯を注ぐためのバケツも合わせて必要です。
食器を洗う台所用の液体中性洗剤です。100ml程度(一般的なボトル半分程度)と、50度程度のお湯をバケツに1~2杯ほどが必要になります。
近年、スッポンがあるご家庭も少なくなったかもしれませんが、ホームセンターやインターネットなどで簡単に購入できます。
便器の形状に合ったものを用意する必要がありますので、後ほど詳しくご紹介します。[tpl file='e_columnTxtBtn01']
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紹介したグッズのいずれかのほかに、以下を準備しておくと便利です。
トラブル防止のため、実際に道具を使ってつまりを直す作業をはじめるまえに以下のことは必ず行いましょう。
まず、トイレタンクの水をうっかり流してしまうのを防ぐためにマイナスドライバーで止水栓を閉めます。
タンク付きトイレの場合、トイレタンクへの給水管についている場合が多いです。
タンクレス便器の場合は、便器の台座部分にあります。
ウォシュレットがついている場合、タンク用とウォシュレット用の止水栓があるので間違えないようにしましょう。
ウォシュレットが設置されている場合は、誤作動を防ぐためと安全のために電源プラグを抜いておきます。
注意していただきたいのは濡れた手では抜かないということです。
感電の危険性があります。
におい軽減のためもありますが、洗剤や重曹とお酢(クエン酸)を使う場合は特に重要です。
換気扇が設置されているのであれば、作業終了まで回しておきましょう。
つまりによって水があふれそうになっている場合などはあらかじめたまった水をくみ出し、便器の中を通常の水位にしておきましょう。
作業が楽になります。
先に準備していたバケツや灯油ポンプなどを使うと簡単です。[tpl file='e_columnTxtBtn01']
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それでは、自宅にある代用品でトイレのつまりを解消する手順を、アイテム別に解説します。
針金(ワイヤー)ハンガーを使っての作業はシンプルで簡単です。
準備するものは以下になります。
まずハンガーのねじってある部分をほどいて伸ばし、1本の針金のようにします。
さらにペンチを使って針金のどちらかの先端を丸く曲げ、丸めた方をトイレの排水口の部分へと差し込みましょう。
針金ですので奥へ入れるにつれ変形し、つまっている部分まで届かせることが可能です。
つまりの原因まで届いたら、それをほぐすように突き崩し、奥へと流しこんでください。
ペットボトルはスッポン(ラバーカップ)の代用品のようにして使います。
ただし便器の排水口サイズにペットボトルがうまくはまらない場合はうまくいかないことがあります。
準備するものは以下になります。
まず、ペットボトルの底の部分をカッターなどで輪切りにするように切り取ります。
切った側をトイレの排水口に差し込み、押しては引く動作を繰り返しましょう。
ゆっくり押し込み素早く引くのがコツです。
何度か繰り返し、水が動くことでつまりの原因がほぐれて流れるようになれば成功です。
ビニール袋越しとはいえ、便器に直接手を入れることになるのでやや覚悟が必要な方法かもしれません。
また、誤ってビニール袋を奥へと流してしまうとさらに深刻な事態になりかねないため、ご注意ください。
準備するものは以下になります。
まず、ビニール袋を何枚か重ねます。
つぎに片手(ゴム手袋の装着が望ましいです)をグーにしてビニール袋に入れ、そのまま拳で栓をするようなイメージでトイレの排水口へと突っ込みます。
突っ込んだ手をスッポン(ラバーカップ)に見立てるように何度か押し引きを繰り返します。
つまっているものがほぐれて押し流すことができれば完了です。
準備するものは以下になります。
トイレの排水口に重曹、お酢(クエン酸)の順で入れ、お湯を少しずつ流し込みます(投入の順番は重要です)。重曹とお酢が混ざり合うと泡が立ってきますので、そのまま1時間ほど放置しましょう。発泡の刺激がつまりの原因にアプローチし、ほぐしてくれます。
最後にバケツに水をくんで、直接便器にゆっくり流します。水が流れれば完了です。二酸化炭素が発生するため、締め切っておくと危険です。換気はしっかりと行いましょう。
準備するものは以下になります。
まずは台所用洗剤をトイレへ流し、その後あふれないように少しづつお湯を注ぎます。
洗剤は油汚れを落とすと同時に、潤滑油のような働きをするため、トイレットペーパーや排せつ物がスムーズに流れるのを助けます。
20~30分程度時間をおき、便器の水位が下がっていたらお湯をつぎ足して様子を見ます。
お湯の継ぎ足しを何度か繰り返し、スムーズに流れるようになれば成功です。
スッポンでつまりを解消する方法と注意点について解説します。
スッポンには和式用と洋式用の2種類があります。
一般的な半球型のスッポンは和式用で、これはトイレだけでなく洗面所や浴室の排水口などにも使用可能です。
洋式のトイレには、半球の底に出っ張りがついた洋式用のスッポンを使いましょう。
中には、半球の底の出っ張りを出し入れできる、和洋どちらにも使えるタイプがあります。
スッポンの形状は便器の形状に合わせて作られているため、間違った種類を選ぶと本来の効果が発揮されません。
そのため、和式トイレには和式用の、洋式トイレには洋式用のスッポンを使うことが大切です。
なお、洋式用のスッポンには小さいものや大きいものがあるので、便器のサイズに合ったものを選んでください。
ここからは、スッポンを使ってトイレ詰まりを解消するときのやり方を、流れを追って紹介します。
まず、便器内の水量をスッポンのゴム部分が浸る程度に調節しましょう。
水が多く溜まっている場合、スッポンを入れるとあふれてしまうので、灯油ポンプなどを使ってある程度水を抜いておく必要があります。
反対に水が少ない場合、スッポンのゴム部分がすべて浸かる程度までバケツなどで水を足してください。
これは、スッポンの空洞内部に空気が残っていると吸引力が半減するためです。
スッポンのゴム部分を便器内部の水に沈めたら、次は排水口と水平になるようにスッポンを便器に密着させ、ゆっくりと押し込んでいきます。
このとき、スッポンと便器の間にすき間ができないように気を付けましょう。
これ以上は無理というところまでスッポンを押し込んだら、勢いをつけてスッポンを引っ張ってください。
配管内の水がスッポンによって引き寄せられ、同時に詰まっているものも引っ張られる様子をイメージするとよいでしょう。
この動作を何度か繰り返すうちに、詰まりが解消されてゴボゴボと音が鳴ります。
詰まりが解消された後は、詰まったものを取り除く必要があります。
水に流せるものであれば少しずつ流し、流せないものであれば手袋などを装着して取り除きましょう。
最後に、本当に詰まりが解消されたかどうかを確かめます。
レバーを引いて水を流すと、まだ詰まっていたときに水があふれ出す恐れがあります。
バケツで水を加えながら、水の流れはスムーズか、水位が上がらないかといったことを確かめてください。
スッポンでトイレ詰まりを直すとき、やり方を間違えると症状を悪化させてしまう場合があるので注意が必要です。
まず、基本的にスッポンが有効なのは、トイレットペーパーや流せるお掃除シート、排泄物など、つまりの原因がトイレに流してもよいものの場合です。
トイレに流してはいけないもの(非水溶性の固体など)は、スッポンで取り除くことは難しいと考えましょう。
次に、スッポンを便器に圧着させるときに勢いよく押し込んではいけません。
スッポンの正しい用途は、配管に詰まったものを便器のほうに引っ張り上げることです。
勢いよく押し込んで圧力のかけ方を間違えると、詰まりの原因が奥に入り込む恐れがあります。
配管の奥に詰まりの原因があると作業が困難になり、業者に依頼しても費用が高くつきやすいので注意しましょう。
また、汚いからといって使用後のスッポンを洗剤や漂白剤で洗うのも避けるのが賢明です。
洗剤や漂白剤はゴムを傷める原因となるため、スッポンは水洗いして天日干しすることをおすすめします。
大切なのは、今より状況を悪化させないことです。
水が床にまであふれて部屋や廊下が水浸しになってしまったり、キッチンやバスルームまで使えなくなったりしては後始末に手間も費用もかかります。
異物をつまらせてしまった場合や、解消方法を試しても効果がないときは、専門の水道修理業者へ修理の相談をしてみることをお勧めします。
トイレのつまりによる修理費用はおおよそ8千円〜2万円程度が目安ですが、作業に使用する道具や必要とされる部品などにより金額は大きく変わってきます。
便器脱着をして修理するケースも同様で、3万円から5万円程度が目安ですが、状況によって金額には変動が出てきます。
業者によってオプションにする作業項目が違ったりと特徴がありますので、依頼前には必ず見積もりをとるようにしましょう。
基本的にはどんな業者でも、状況がひどくなる前に依頼したほうが安く済みます(作業量や特殊な機器の出番が減るため)。
トイレつまりの修理料金については下記でも詳しく紹介していますので是非参考にしてみてください。
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ご紹介した方法はお役に立ちましたでしょうか。
最後に、トイレをつまらせないための日常的な使用方法やコツをご紹介します。
「トイレットペーパーは水溶性だから、量が多くても流して大丈夫」と思っている人は少なくありませんが、これは大きな間違いです。
流す水量はトイレの設計上決まっています。
そこに想定を超える量のトイレットペーパーを流してしまうと、流しきれずにつまる原因となってしまいます。
たくさん流す必要があるときは、複数回に分けて流すなど、トイレの流す能力を超えないように使うことが大切です。
また、安価なトイレットペーパーの中には、水に溶けにくい製品も存在します。
大量に流しているわけではないのに、トイレが頻繁につまってしまう際には、紙の種類を変えてみることをおすすめします。
市販されているウェットティッシュや赤ちゃんのおしりふき、トイレ用お掃除グッズ、猫のトイレ用の砂などの中には「トイレに流せる」と記載のある製品があります。
ですが、どれぐらいしっかり水に溶ける(ほぐれる)かはそれぞれなので、きれいに流れずつまりの要因になってしまう場合があります。
こういったトイレに流せる製品もできるだけ流さないか、流す場合も少量にとどめておきましょう。
特に節水タイプのトイレは水量が少なく設計されているためつまりやすくなります。
トイレつまり防止のためには、通常の可燃ゴミとして処理することをお勧めします。
蓋が開いていると、小さなお子さんがイタズラや遊びの延長で便器の中にものを入れてしまう場合があります。
目を離した隙にオモチャなどを入れられてしまうと、大人は何がつまっているのかを判別できません。
つまりの原因が不明ですと、自力で直せるかどうかの判別もできなくなります。
便座には常にフタをしておくなど、簡単に開けられないようにする工夫が大切です。
トイレのドアが開き戸であれば、ノブに手が届かないうちは安全ですが、引き戸ですと小さなお子さんでも簡単に開けられます。
トイレの扉の外側から施錠できるようなカギをつけるのもいたずら防止の一環になります。
簡単に取りつけられる簡易的なストッパーなども市販されています。
「大」「小」など、ほとんどのトイレでは流すときに水量を選択できるようになっています。
トイレに流せると記載のある商品を流すような場合や固形の排泄物を流す際、水量は必ず「大」にしましょう。
少量だからと「小」を使うと、流しきれずに排水管の中に溜まり、つまりの原因になります。
また、トイレの節水方法のうち、タンクの中に水を入れたペットボトルを沈める方法などはよく知られていますが、これにはタンク内部の故障や、洗浄時の水量不足によるつまりの原因となります。
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トイレットペーパーや排せつ物によるトイレつまりは、専用の道具なしでも、自宅にあるものやコンビニなどで簡単に手に入るものを活用して解消することができます。
修理に急を要するときは、ぜひ一度試してみてください。
この記事で紹介したやり方でも解決できなかった場合は、被害を最小限にするためにも専門の水道修理業者へご相談ください。