トイレの水漏れの対処法とは?原因別に修理方法を解説
トイレの水漏れを放置していると、被害の拡大にも繋がりかねません。そうならないために、水漏れに関する正しい知識を身につけましょう。
【場所別】トイレが水漏れする原因・症状とは
トイレの水漏れは、タンクや止水栓からぽたぽた漏れ出すなど、様々な場所で発生します。水漏れしている場所によっては、気がついたら床や壁がびしょびしょになってしまうということも…。
水漏れだけでも大変ですが、修理をしないまま水を止めなければ水道代がかさんでしまいます。中には、水漏れを放置したことにより、前月の倍以上の水道代が発生するケースもあります。
そうならないよう、トイレの水漏れに気づいたらすぐに対処することが大切です。この項目では、水漏れをする原因とそれぞれの症状を場所別にお伝えします。場所によって修理方法や対策が異なるので、よく確認しましょう。
トイレの水漏れが起こる場所としては、以下の5つが挙げられます。
・接続部分・止水栓
・タンク内
・便器内
・便器と床の隙間
・ウォシュレット・シャワートイレ
水漏れが起こったら、まずは濡れてしまった場所をタオルなどで拭き、どこから水が漏れているのかを確認しましょう。
接続部分・止水栓の水漏れの原因・症状
よく水漏れが起こる箇所として、「給水管の接続部分」や給水管の間の「止水栓」が挙げられます。給水管とは、トイレで使う水を運ぶために床や壁から伸びている配管です。この結合部から水漏れが発生することが多々あります。給水管の間にある止水栓も、水が漏れてしまいやすい箇所です。
接続部分や止水栓から水漏れが起こる原因としては、主に以下のような点が挙げられます。
・バルブやナットの緩み
・パッキンの老朽化
バルブやナットは配管の接続部分にある部品です。具体的には、給水管と分岐水栓、ウォシュレット給水ホースとのつなぎ目にあります。配管同士を固定する役割を持つので、バルブやナットが緩んでしまうことによりつなぎ目に隙間ができてしまい、水漏れが発生します。
パッキンはナットの内部にあるゴム製の部品です。トイレの止水栓はハンドル型のものと溝型の2種類がありますが、どちらとも内部にパッキンがあり、隙間を塞いで水漏れを防ぐ役割を果たしています。パッキンはゴム製のため、経年劣化で硬くなってしまいます。そのため隙間を埋めることができなくなり、水漏れが発生するのです。
タンク内の水漏れの原因・症状
トイレタンクの中で水漏れが起こっている場合、「ぽたぽた」という音がタンクから聞こえてきます。内部で水漏れが起こっている場合、考えられる原因として以下の2つがあります。
・ボールタップの故障
・浮き玉の不具合
ボールタップと浮き玉は連動して動くため、どちらか一方が壊れてしまうとタンク内への給水を止めることができなくなり、水漏れが発生します。
ボールタップは、レバーを引いて水を流した時にタンク内の水位の上昇や下降に合わせて動き、給水をする役割があります。そして、タンク内の水面に浮かんでおり、タンク内の水位をボールタップに伝える役割を持つのが浮き玉です。
レバーはボールタップと繋がっており、ボールタップは浮き玉と繋がっています。便器内の水が流れると浮き球が下に下がり、浮き球と繋がっているボールタップの止水弁が開きます。するとタンク内に給水が始まり、タンク内の水位が上昇するにつれて浮き球が上に上昇します。そして、ボールタップの止水弁が閉まることによって給水が止まるのです。
そのため浮き玉にヒビが入っていたりボールタップ内部の部品が壊れていたりするとうまく連動できず、給水が止まらずに水漏れが発生します。
便器内の水漏れの原因・症状
レバーを引いていなくても便器の中に水が少しずつ流れ出している場合、便器内で水漏れが発生している可能性があります。原因としては、以下の3つが考えられます。
・ゴムフロートの劣化
・レバーとゴムフロートの間の鎖の絡まり
・オーバーフロー管の破損
まずゴムフロートとは、タンク内の底にある部品です。タンクのレバーと鎖で繋がっており、便器に給水される水量を調整する役割を持ちます。レバーを回すと、繋がれた鎖が引っ張られ、その先にあるゴムフロートも引っ張られます。オーバーフロー管は、タンクに水が溜まりすぎた時のためにある排水管です。トイレだけでなく洗面台にもついているためイメージしやすいかもしれません。
ゴムフロートが経年劣化して破損すると、栓としての役割を果たせずに、タンクの水が少しずつ漏れてしまいます。またゴムフロートの鎖が絡まると、短くなった分ゴムフロートが引っ張られたままになってしまい、しっかりと栓をすることができません。オーバーフロー管が破損すると、破損した管の部分からタンク内の水が少しずつ流れ出てしまいます。
以上のような結果、便器内に水が少しずつ流れ出ていってしまうのです。
便器と床の隙間の水漏れの原因・症状
便器と床の設置面に水漏れが見られる場合、以下のような原因が考えられます。
・トイレ本体の設置不良
・フランジパテの劣化
・トイレルーム内と便器の温度差による結露
まず、トイレ本体の設置不良から解説します。便器と排水管のつなぎ目がずれていたり、部品に不備があったりすると、トイレ本体と床の設置面から水漏れが発生することがあります。発生するタイミングとしては、新しい便器に交換した時や、修理のために一度便器を取り外した後などが多いです。
次にフランジパテの劣化についてです。便器と床の設置面から水漏れが発生する場合、ほとんどがフランジパテの劣化の原因と言われています。フランジパテとは便器と排水管の接続部分に使われている部品です。当初は粘土状のものが経年劣化で硬くなり割れてしまうことによって、その割れ目から水漏れが発生してしまいます。
最後はトイレルーム内と便器の温度差による結露についてです。梅雨や冬場は、結露が発生しやすい時期です。湿気や気温差がきっかけとなり、トイレ本体に結露が発生しているのかもしれません。
この場合、トイレ本体や部品が壊れている可能性は低いためあまり心配する必要はありません。しかし、結露によって発生した水滴が床板に染み込んで劣化する可能性もあるので、こまめに水滴を拭いたり換気したりするといった工夫が必要です。
ウォシュレット・シャワートイレの水漏れの原因・症状
ウォシュレットや、シャワートイレからの水漏れについて説明します。ちなみに「ウォシュレット」はTOTOの商標で、正式名称は「温水洗浄便座」ということをご存じでしたか?ここでは「温水洗浄便座」の名称を用いて解説します。
温水洗浄便座は、主に洗浄ノズルや便座の脇、給水ホースなどから水漏れが発生することが多いです。水漏れが発生する原因としては、以下が考えられます。
・ナットの緩み
・パッキンの劣化
・ノズルの故障
・操作パネルやリモコンの故障
・給水管のフィルターの目づまり
温水洗浄便座は電化製品のため、メーカーなどの専門知識がある人でないと水漏れしている原因の特定は難しいでしょう。しかし一般的には、ノズルの故障や給水管のフィルターの目づまりが原因であることが多いと言われています。これらは普段からノズル部分の掃除やフィルターの交換などをしていないと発生します。
【箇所別】トイレの水漏れ対策のご紹介
ここからは、自分でできる水漏れの修理方法や必要な道具、水漏れが起きないようにする予防方法などをご紹介します。
はじめに、必要となる道具をご紹介します。修理前に、以下の道具を揃えましょう。
・ゴム手袋
・該当箇所の交換用パッキン
・マイナスドライバー
・モンキーレンチ(あればウォーターポンププライヤー)
・タオル
・バケツ
道具を用意したら、最初にするべきことがあります。修理の前に「止水栓を閉める」ことです。止水栓は給水管の途中にあり、栓を閉めることでトイレへ水が流れるのを止めます。止水栓は「ドライバー式」「ハンドル式」「内ネジ式」の3種類あるので、修理するトイレの止水栓がどのタイプなのか確認しましょう。
「ドライバー式」の場合、マイナスドライバーを使います。「ハンドル式」の場合、付属品の開閉工具を使用します。注意点としては、内側の溝だけ回すという点です。「ハンドル式」は蛇口がついているので、手で回すだけで閉められます。
3つのタイプに共通するのは、閉める時は時計回り、開ける時は反時計回りだということです。
また、止水栓の場所が分からなかったり、固くて回らなかったりする場合には水道の元栓を閉めてしまうという方法もあります。
接続部分・止水栓の水漏れ対策
給水管の接続部分・止水栓の修理方法について解説します。給水管の接続部分や止水栓からの水漏れは、「バルブやナットの緩み」「パッキンの老朽化」が原因でした。
まず、作業中は水が垂れてしまうので、水漏れしている箇所の下にバケツを設置しましょう。床が濡れるのを防ぐことができます。
バルブやナットが緩んでいる場合は、モンキーレンチやウォーターポンプフライヤーを使用して、「時計回り」に締めましょう。しっかりと締め直せば水漏れが止まるため、そこまで難易度は高くないでしょう。
次にパッキンが老朽化している場合ですが、この場合は新しいパッキンと交換する必要があります。給水管と止水栓でそれぞれパッキンの交換手順が異なるので、順番に説明します。
給水管のパッキン交換手順は、以下の通りです。
①給水管とタンクのつなぎ目部分のナットを、モンキーレンチ、もしくはウォーターポンプフライヤーで外す
②ナットを外したのち、中のパッキンを交換
③ナットを締め直す
④止水栓を開けて(水道の元栓を閉めた人は元栓)、水漏れが直っているか確認
止水栓の場合は、以下のようにパッキンの交換を行います。
①水道の元栓を閉める
②止水栓についたナットを、モンキーレンチ、もしくはウォーターポンププライヤーで外す
③ナットが外れたら、パッキンを交換
④止水栓の奥にあるスピンドルを、反時計回りに回した後、外す
⑤スピンドルからコマ状の部品を外して、新しい部品と交換
⑥ナットを締め直す
⑦水道の元栓を開けて、水漏れが直っているか確認
それぞれパッキンの種類をメモしておいて、ホームセンター等で購入しておきましょう。
止水栓の場合は水道の元栓を閉める必要があるため注意が必要です。
どちらの修理も少々手順が多いため、難易度は少し高めと言えるでしょう。
タンク内の水漏れ対策
タンク内の水漏れの修理方法について解説します。
タンク内に水漏れが発生する原因は、「ボールタップの故障」や「浮き玉の不具合」が主です。
まず、ボールタップと浮き玉のどちらに不具合があるかを特定しましょう。
具体的な手順は以下の通りです。
①タンクの蓋を開ける
②タンク内の浮き玉を持ち上げる
③水漏れが止まるか確認
もしこの手順を行っても水漏れが止まらない場合、ボールタップ内の部品が壊れている可能性が高いです。その場合はボールタップを新品と交換しましょう。
この手順によって水漏れが止まれば、浮き玉の位置がずれていた可能性が高いです。浮き玉にヒビなどが入っていなければ、そのまま水面に戻してください。ヒビが入っていた場合は、新品と交換する必要があります。
手順も少ないので、部品交換が必要でない限りは簡単に対処できるでしょう。
便器内の水漏れ対策
便器内の水漏れ対策について説明します。
便器内で水漏れが発生する原因としては、「ゴムフロートの劣化」「レバーとゴムフロートの間の鎖の絡まり」「オーバーフロー管の破損」が挙げられます。
鎖が絡んでいる場合はほどくことで解決できますが、稀に鎖が切れてしまうこともあるため、その際の対処法をご紹介します。
レバーとゴムフロートの間の鎖を交換する手順は以下の通りです。
①止水栓を閉め、水を止める
②トイレのタンクの蓋を外す
③古いフロートバルブと、鎖を取り外す
④新品の鎖の長さが、取り外した古い鎖の長さになるよう、ペンチなどで調整
⑤新品のフロートバルブと鎖を取り付け、レバーを回して動くか確認
⑥止水栓を開け、水が流れる状態でレバーを回し、出が流れるかを確認する
次にオーバーフロー管が破損している場合の修理方法を解説します。
①止水栓を閉めて、タンク内の給水を止める
②レバーを回して、タンク内の水を全て抜く
③給水管とタンクのつなぎ目のナットを外す
④オーバーフロー管以外のタンク内の部品すべて取り外す
⑤便器とタンクを固定しているボルトを外す
⑥タンク底のオーバーフロー管を固定しているナットを外す
⑦オーバーフロー管を交換する
⑧外した全ての部品を取り付ける
⑨給水を再開した後、標準の水位で水が止まる位置に、ボールタップを調整
⑩水漏れがないかなど確認
DIYなどに慣れている方なら、オーバーフロー管の代わりになる配管などを購入して応急処置をすることも可能です。しかし、慣れていない方にとっては手間がかかる上に難易度が高いため、自分で対処することはおすすめできません。
「バケツで流す」「止水栓を止める」といった応急処置を行い、修理自体は業者に任せると良いでしょう。
便器と床の隙間の水漏れ対策
便器と床の隙間に起こる水漏れは、「トイレ本体の設置不良」「フランジパテの劣化」「トイレルーム内と便器の温度差による結露」が原因でした。
トイレ本体の設置不良やフランジパテの劣化の場合、大変大掛かりな作業となるので、業者の方に依頼しましょう。
結露の場合はトイレルーム内と便器の温度差によって発生するため、
・こまめに換気する
・暖房でトイレルームを温める
などを行うことで予防、改善することができます。
ウォシュレット・シャワートイレの水漏れ対策
温水洗浄便座からの水漏れは、「ナットの緩み」「パッキンの劣化」「ノズルの故障」「操作パネルやリモコンの故障」「給水管のフィルターの目詰まり」が原因です。
このうち、ノズルの故障と給水管のフィルターの目づまり以外は、自分で原因を特定しにくいため、メーカーに修理を依頼すると良いでしょう。
温水洗浄便座に発生する不具合のうち、ノズルの交換は自分でも対処しやすいトラブルです。ただし、感電などの危険性があるため、業者に依頼したほうが良いということを念頭に置いておきましょう。
ノズルを交換する手順は以下の通りです。
①ノズルの掃除モード、もしくは手動でノズルを引き出す
②ノズルを反時計回りに回して外す
③新品のノズルと交換する
④止水栓を開き、水漏れしないか確認
ノズルの取り出し方はメーカーによって異なるので注意が必要です。説明書をしっかりと確認しましょう。
給水管のフィルターの目詰まりに関しては、メーカーなどによって手順が異なります。説明書を確認した上で、歯ブラシなどを使用して掃除してください。
自分で修理できない場合は業者に相談しよう
ここまで、トイレで起きる水漏れに関する説明や、自分でできる修理方法などについて、場所ごとに解説してきました。
トイレの水漏れは放置をすると、床・壁の腐敗、シロアリの発生、無駄な水道料金が発生するリスクなどを高めます。自分で修理を行うのが難しいと感じた場合や、水漏れを早期に解決するためには、専門業者などを利用するのがおすすめです。
参考までに、修理作業別の費用相場をご紹介します。
・パッキン交換 6,000円〜
・その他部品交換 6,000円〜
・水漏れ修理作業 9,000円〜
・給水管加工 10,000円〜
・タンクレバー交換 10,000円〜
その他に出張費がかかる業者がありますが、相場は時間外を除き2,000~3,000円となります。トイレで水漏れが起きた場合、その原因箇所により対応方法はさまざまです。自分での対処が難しい場合は専門の業者に相談しましょう。
まとめ
自分で水漏れを修理できれば、修理代もかからず部品代だけで済みます。しかし水漏れは放置をすると思わぬ出費がかさんでしまう可能性もあります。なるべく早めに修理するために、専門の業者に依頼してしまうのも一つの有効な手段と言えるでしょう。
業者に修理を依頼する際は必ず見積もりをお願いし、見積もり後に金額が変わらないかを確認することで、想定以上の支出を防ぐことができます。後々トラブルが発生することを防ぐために、見積もりの内容をしっかり確認する、相見積もりを取るといった対応をすることも大切です。
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