故障かな?給湯器トラブルの原因・対処法を症状別に解説
給湯器は滅多にトラブルを起こす機器ではありませんが、複雑な構造をしているので故障するとすぐに直らないことがあります。また、ガスや石油などの危険なエネルギーを使っているので、修理は給湯器の販売業者や専門の工事業者などに任せることになります。
10年近く経過した給湯器が壊れると、交換するしかないかもしれません。
この記事では、給湯器の故障の症状別に、その原因と対処法を解説します。
故障の症状別チェックポイントと原因、対処法
給湯器トラブルは大きく「お湯に関するトラブル」と「その他のトラブル」に分けられます。
症状別に、チェックポイントと原因、トラブルを発見したときの対処法をご紹介します。
お湯に関するトラブル
まずは、お湯に関する症状からみていきましょう。
お湯が出ない場合
お湯が出ないときは、以下をチェックしてみてください。
給湯器の故障ではないこともあります。
●一箇所の蛇口のみお湯が出ない
蛇口(水栓)が故障していると、給湯器が壊れていなくてもお湯が出ないことがあります。給湯器は壊れていないため、他の蛇口からは通常通りお湯が出ます。
一箇所のみお湯が出ない場合には、蛇口の修理または交換が必要ですので、水回りの修理業者に修理を依頼しましょう。
●家中の蛇口からお湯が出ない
ガスコンロやガスファンヒーターなど、他のガス機器が使えるかどうか確認してみてください。
他の機器が使えれば、ガスの供給に問題はないため、給湯器の不具合が疑われます。
他の機器が使えない場合、ガスの供給に問題があるかもしれません。
引っ越し直後や点検作業等を行った後は、ガス栓が閉まっていることがあります。ガス栓が閉まっていたら開けることでガスが使えるようになります。
地震の強い揺れやガスの長時間利用など、ガスメーターが異常を感知すると、自動的にガスを遮断します。ガスの復帰作業を行うことでガスが使えるようになります。ただし、ガス臭いときは復帰作業は行わず、ガス会社へご連絡ください。
プロパンガスの場合は、ガス切れの可能性も考えられます。プロパンガスの残量は外から確認することは出来ませんので、確認する場合はガス会社へ連絡しましょう。
また、意外とありがちなうっかりミスは、「給湯器の電源が入っていない」「ガス料金の未払い」です。念の為、確認しましょう。
●お湯も水も出ない
断水していると、すべての蛇口からお湯だけでなく水も出ません。
計画的な断水の場合、事前に自治体からのお知らせがありますが、事故による断水は住民にはすぐには情報が入ってこないかもしれません。自治体に問い合わせてみてください。
また、給水バルブが閉まっていたり、給水管が凍結したりしても、お湯は出なかったり出にくくなります。
給水バルブが閉まっている場合は開けるだけで解決しますが、凍結の場合は気温が上がり自然解凍するのを待ちましょう。
上記で紹介したいずれにも当てはまらないときは、給湯器の故障が考えられます。
自分で修理することはできませんので、業者に修理の依頼をしてください。
お湯の温度が安定しない場合
給湯器の設定温度を変えていないのに、熱いお湯が出たり、ぬるいお湯が出たりすることがあります。
給湯器の温度センサーが故障していると、温度を正しく測定できず設定温度を保てなくなります。またお湯の温度を調節する装置が壊れても、お湯の温度がころころ変わってしまいます。
給湯器の寿命は大体7~10年くらいなので、7年以上使っていれば部品の故障が真っ先に疑われます。自分で修理することは出来ないので、業者に修理の依頼をしましょう。
古いタイプの給湯器は、お湯を止めた後再びお湯を使用すると「高温のお湯→冷たい水→しばらくして設定温度のお湯」という温度ムラが生じるものがあります。これは「冷水サンドイッチ現象」といい故障ではありません。しかし、お湯が出るまでの時間が長引くようなら、一度点検してもらったほうがよいでしょう。
混合水栓(お湯と水が1つの蛇口から出るタイプの水栓)でお湯の温度が安定しない場合は、蛇口の故障が疑われます。
お湯がぬるい場合
設定温度を高くしてもお湯がぬるいままの場合があります。
一箇所の蛇口のみなら、その蛇口に不具合がある可能性が高いですが、すべての蛇口で熱いお湯が出ない場合は、給湯器の不具合が考えられます。
ぬるくても一応は水を温めているので給湯器は作動していますが、機能の低下は明らかですので業者に点検を依頼しましょう。
お湯が出るまでに時間がかかる場合
冬場は夏場に比べ水温が低い為、設定温度まで水温を上げるのに時間がかかります。これは気温の下がる時期には避けられない事象です。
ただし、「去年の冬より、お湯になるのが明らかに遅い」と感じたら、給湯器の不具合が発生しているかもしれません。
給湯器の使用年数が7~10年程度経っている場合は、寿命のため機能が低下していることが考えられます。
追い炊きができない場合
追い炊き機能が作動しない場合、浴槽の循環金具のフィルターにゴミが溜まっていないか確認しましょう。ゴミや異物が詰まっている場合は、きれいに掃除して取り除きましょう。
そして循環金具のフィルターを正しく取り付けることも重要です。
掃除をして正しく取り付けをしても追い焚きが出来ない場合、追い焚きポンプの呼び水が足りていないことが考えられます。
空焚き防止の機能があるため、浴槽の湯量が少量しかないと追い焚きが出来ません。浴槽の湯量が少ない場合は、お湯を足してから再度試してみてください。
その他のトラブル
お湯に関すること以外の症状をみていきましょう。
給湯器から水漏れしている場合
実は、給湯器トラブルでもっとも多いトラブルが水漏れです。水漏れの原因は、部品の劣化、整備不良、水抜き栓からの排水です。
一時的に水抜き栓から水が出ている状態は、水漏れや故障ではありません。正常にお湯が出る場合はそのまま使用しても問題ありません。
しかしそれ以外の水漏れは、状況によっては、一酸化炭素中毒を引き起こしたり電気系統がショートする危険性があります。
水抜き栓以外の水漏れに気がついたら、使用を中止し早めに業者を呼びましょう。
異音がする場合
給湯器は、大量のエネルギーを燃やして、一気に水をお湯に変える装置です。家庭や事務所のなかで使われる機械としては珍しく、大きな音を出します。そのため、通常の音と、異常のサインである異音との区別がつきづらいことがあります。
次の音は異音の可能性があるので、早めに業者に相談したほうがよいでしょう。
- 笛のようなピーという音、ホラ貝のような音:空気とガスのバランスが崩れていたり、ファンの不具合や燃焼状態に異常がある可能性があります。
- ボンッという小さな爆発音(+ガス臭い):不完全燃焼やガス漏れの可能性があります。
- 風呂釜からポコンポコンという釜鳴音:循環パイプや熱交換器に異常がある可能性があります。
- 金属音のようなキーンという共鳴音:ウォーターハンマー現象の音で、センサー類に影響を与えたり水道管破裂の可能性があります。
- ゴーッ:排気口にゴミなどの異物が混入しており、不完全燃焼を引き起こす可能性があります。
異臭がする場合
ガスや石油の臭いがしたら、給湯器の電源を切り、ガスや石油の元栓を閉めてから業者を呼んでください。
ガスが室内に充満している可能性がゼロではないので、換気をして、火を使わないようにしてください。
黒い煙が出ている場合
給湯器から黒い煙が出ていたら、給湯器を止め、燃料の供給を止め、換気をしてから業者を呼んでください。
黒い煙は不完全燃焼によって発生するので、換気をしないと一酸化中毒を引き起こしてしまうかもしれません。
リモコンにエラーコードが出ている場合
給湯器が故障すると、リモコンにエラーコードが出ることがあります。エラーコードによっては、自分で復旧できることもあるので、給湯器の取り扱い説明書やホームページで該当するものを確認してみましょう。
難しいと感じたり同じエラーコードが何回も出るようであれば、業者に相談してください。
給湯器の寿命(耐用年数)は?
給湯器の寿命は、大体7~10年ほどです。機械の寿命のことを耐用年数といい、「その年月を迎えると、壊れても不思議はない」期限のことです。
7年以上経過している給湯器が故障したら、修理ではなく交換が必要になることがあります。
給湯器によっては10年以上、普通に使えることがあります。それは、家計やコスト面では喜ばしいことですが、急に致命的な故障に襲われるリスクが増えていることにもなります。
給湯器メーカーは「うちの製品は○年は安全に使える」という設計標準使用期間を設けています。設計標準使用期間は、さまざまな実験を繰り返して導き出した期間ですので、それを過ぎると「いつ壊れても不思議はない」状態に入ります。
給湯器の設置から7~10年が過ぎたら、まだ使える状態であっても業者にみてもらったほうがよいでしょう。
修理で済む場合と修理にかかる費用相場
給湯器が故障した場合、修理で済む場合と、交換が必要な場合があります。
まず、修理で済む場合の修理内容と費用を紹介します。
給湯器に不具合が出た際、保証期間内であれば無償で修理を受けられることがあります。保証期間内かどうか、保証内容に当てはまるかどうかを確認しましょう。
保証が適用されない場合、修理費の相場は1万円から5万円程度です。部品の単価に加えて、作業の大変さも修理費に影響します。電気系や安全装置系、操作系の修理は高く、燃焼系や水回りは安いという傾向があります。
また、業者によって別途人件費や出張費などを請求されることがあります。故障が疑われたものの、業者が修理は必要ないと判断することがあり、その場合、修理費が発生しなくても点検費を請求される場合があります。
修理や点検を依頼するときは「修理費はいくらくらいになるのか」「修理費以外にどんな費用がかかるのか」といったことも必ず確認しておきましょう。
交換が必要な場合と交換にかかる費用相場
修理ではなく交換が必要になるケースと、交換の費用の相場を紹介します。
交換が必要になるのは、
・修理して使用をすることが困難な場合
・給湯器が古く、修理してもまたすぐに不具合が生じる可能性が高い場合
・給湯器が古く修理に必要な部品を調達できない場合
・修理が必要な箇所が多く、交換したほうが安く済む場合
・修理は可能だが、より性能の良い新型に換えたほうがランニングコストが安くなる場合
などです。
新型の給湯器は機能によって価格の幅があり、10万~40万円が相場です。 業者から給湯器を交換しなければならないと言われたら、複数の業者に見積もりを依頼することをおすすめします。複数の業者に見積もりを取ると、費用の比較はもちろん、各会社の対応力を見ることもできます。
給湯器の故障を放置するのは危険!
ここまでお話した通り、自分で解決できる些細なトラブルもありますが、中には放置しておくと爆発事故や一酸化炭素中毒など危険な事態を引き起こすものもあります。
給湯器の故障を放置するのはとても危険です。ここでご紹介した内容を参考に、給湯器の異常を検知したら、適切な対処をし早めに修理を依頼しましょう。
修理・交換はどこに頼んだらいい?
給湯器の修理や交換は、さまざまな業者に依頼することができます。
業者ごとに、メリットとデメリットを考えていきましょう。
住宅販売業者
住宅を買うとほとんどの場合、給湯器ももれなくついてきます。住宅を購入して間もないうちに給湯器に不具合が起きた際は、住宅販売業者も一つの選択肢になります。
●住宅販売業者に修理依頼をするメリット
保証期間内であれば、無償または少ない自己負担で修理・交換をしてもらえます。
●住宅販売業者に修理依頼をするデメリット
保証期間を過ぎていた場合、給湯器の修理は住宅販売業者に依頼しないほうがよいかもしれません。無償修理が望めないだけでなく、割高になる可能性があるからです。
住宅販売業者には給湯器を直したり交換したりできる人がいないので、結局は、給湯器販売会社や工事業者などに再依頼することになります。
住宅販売業者が中間マージンを取れば、給湯器の利用者(住宅オーナー)の支払うお金は割高になります。
給湯器メーカー
給湯器を製造するノーリツ、リンナイ、パロマなどの給湯器メーカーに依頼することも可能です。
●給湯器メーカーに修理依頼をするメリット
給湯器メーカーのメリットはなんといっても安心感があることです。また、給湯器を製造している会社なので、本体や部品の調達がスムーズです。
●給湯器メーカーに修理依頼をするデメリット
修理不可能で買い替えが必要になった場合、自社製品の中からしか選べません。
他社製品も比較検討したいと思ったら、改めて他の給湯器メーカーの担当者を呼ばなければなりません。
また、給湯器メーカーは、地元の給湯器販売業者や工事業者に修理を委託するため、こちらで業者が選べなかったり修理費は割高になる傾向があります。
ガス会社
ガスの供給やガス機器扱っているガス会社にも、修理・交換を依頼できます。
●ガス会社に修理依頼をするメリット
ガス会社は大手や中小企業ということもあり、安心感があることがメリットです。また、ガスの検針表から連絡先がすぐに確認できるので、どの会社にするか悩む必要もありません。
●ガス会社に修理依頼をするデメリット
ガス会社に修理依頼するデメリットは、修理費が割高になることです。それは、ガス会社にとってガス給湯器の修理はメインの仕事ではないからです。
給湯器メーカーと同じように、ガス会社も地元の給湯器販売業者や工事業者に修理を委託するケースがほとんどです。
また、取り扱っているガス給湯器の種類も限られています。
給湯器販売・工事業者
給湯器販売・工事業者は、給湯器の販売、修理や取り付けをする業者です。
●給湯器販売・工事業者に修理依頼をするメリット
ガス会社や給湯器メーカーに比べ、市場競争が激しい為価格設定が低めな点が一番のメリットと言えます。
また、給湯器販売会社・工事業者は複数メーカーの給湯器を取り扱っているので、最良の選択肢を利用者に提案できます。
修理や交換実績も豊富なので、安心して任せられます。
●給湯器販売・工事業者に修理依頼をするデメリット
数ある選択肢の中から業者を自分で見つけなければならないことや、信頼できる業者を探すには複数社から見積を取らなければならないことはデメリットかもしれません。
また、給湯器販売・工事業者は独自のサービスを展開していることが多く、比較が難しいのでどの業者に依頼するか悩んでしまいがちです。
給湯器を長く使う為に大切なこと
先ほど、給湯器の寿命は7~10年と紹介しましたが、寿命は使い方でも変わってきます。
給湯器を正しく少しでも長く使うコツを紹介します。
給湯器付近に物を置かない
給湯器の近くに物を置かないようにしてください。障害物により排気口が塞がれると空気の流れが遮断され、十分に排気排熱ができず、不完全燃焼をおこして機械に負担をかけることになります。
また、戸外に置く給湯器の場合、周辺が雑草だらけにならないようこまめに除去してください。雨水が雑草をつたって給湯器に流れ込み、内部を腐食させる恐れがあります。
入浴剤と追い炊き機能の併用に気をつける
入浴剤は、給湯器内部を劣化させる可能性があります。
入浴剤によっては、硫黄や塩分などの金属を腐食させる成分が多く含まれており、給湯器内部の配管を劣化させる可能性があります。
「ブクブク」と泡が出るタイプの入浴剤は、炭酸成分が含まれており、銅製の熱交換器をいためる恐れがあります。
お湯が濁るタイプや固形物が含まれる入浴剤は、追い焚きをすると配管内に溜まり、給湯器の機能を損なう恐れがあります。
追い焚きをしてから、入れるようにしましょう。
使用環境に合った種類・号数の給湯器を選ぶ
給湯器は、種類と号数が豊富にラインナップされています。
例えば、沿岸部の地域では塩害を受け腐食が進みやすい為、耐塩害仕様の給湯器を設置したほうが望ましいです。
寒冷地での設置に適した、寒冷地仕様の給湯器もあります。
使用する環境に合わせた給湯器選びは、不具合を最小限にとどめ安全に使用するためにも、とても重要です。
号数は、給湯性能を数値化したもので、同時にどれくらいの湯量を使用したいかで選びます。
世帯人数が多く、同時に複数箇所でお湯を使う場合、16号の給湯器では給湯能力が足りません。
人数に適した号数を選ぶ必要があります。
給湯機が故障して、新しいものに買い替えるときは、使用環境や家族構成などを踏まえ、最適な製品を選ぶようにしましょう。
まとめ
給湯器は私たちの生活に必要不可欠な機器の一つと言えます。
故障すると非常に不便ですし慌ててしまいます。しかし、重大な故障と軽微な故障を知っておけば、冷静な対応ができるでしょう。そして、給湯器を安全に使うためにも、業者を呼ばなければならないタイミングを知っておくことはとても重要です。
まだ修理が必要ない場合でも、突然の給湯器の故障に備え、修理を依頼できる業者を今から調べておくと安心かもしれません。
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